様々な化学分析手段を用いて有害物質の含有や溶出の有無を検査し、各種製品の安全性確認に貢献します。
1.食品衛生法に基づく検査
当試験所は食品衛生法に基づく厚生労働省の登録検査機関です。
おもちゃ・食品・食品用器具容器包装などの輸入通関手続きには、食品衛生法に基づいて有害物の含有量や溶出量が規定の範囲内であることを確認した検査報告書が必要となります。当試験所の検査報告書はこの手続き書類としてお使い頂けるとともに、新製品・開発品の製品確認検査や部品・部材・塗料などの安全性の確認にもお役立て頂いています。
試験品の提供について(検査必要量)
(1) おもちゃ
6歳未満の乳幼児を対象としたおもちゃについて、以下のような有害な化学物質が基準を超えて溶け出さないかを検査します。
- 重金属
- 塗膜や金属中の鉛、ヒ素、カドミウムなどの溶出量検査
- 着色料
- 塗膜及び基材中の着色料の溶出検査(許可色素* は除く)、許可色素の確認検査
- 添加物
- ポリ塩化ビニルなどに可塑剤として含まれることがある、フタル酸エステルの含有量検査
- 不純物
- ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどからの水溶性溶出物量(蒸発残留物検査)及び、有機物や被酸化性物質の溶出量(過マンガン酸カリウム 消費量検査)
これら全ての検査に適合したおもちゃは、食品衛生法の規格を満たす商品として輸入・販売ができます。
(*許可色素:食品衛生法施行規則別表第1に掲げられた着色料)
(2) 器具及び容器包装
ガラス、陶磁器、ホウロウ引き、ゴム、合成樹脂などの素材を用いて製造された器具や容器包装の食品と触れる部分について、重金属、着色料、合成樹脂の原料及び可塑剤などの有害な化学物質が含まれていないか、溶け出さないかを検査します。
- 重金属
- 鉛及びカドミウムの含有量及び溶出量検査
- 着色料
- 許可色素* 以外の着色料が溶け出さないことを検査
- 合成樹脂の原料など
- 合成樹脂の原料や分解物、不純物などの有害物質が、 基準値を超えて含まれていないか、溶出しないかを検査します。検査項目は、樹脂共通の一般規格の他、以下のような樹脂固有の個別規格があります。
検査項目の例
- フェノール樹脂中のフェノールの溶出量
- ポリカーボネート樹脂中のビスフェノールA類の含有量と溶出量
- PET樹脂中のアンチモンとゲルマニウムの溶出量
- ポリスチレン樹脂中のスチレンや他の揮発成分の含有量
2.有害化学物質の検査
各種の規格に基づいて、基準値を超えた有害化学物質が含有されていないか、あるいは溶け出さないかを検査します。
ISO 8124、EN71、ASTM F963を始めとする種々の規格に基づいた、重金属、フタル酸エステルなどの有害化学物質の検査が可能です。以下はISO/IEC 17025(試験所の能力に関する要求事項)を認定された検査項目で、これを示すシンボルマークを報告書に表示できます(一部を除く)。
(1) 化学検査
検査の対象 |
規格・基準 |
シンボルマーク |
塗膜中または基材中の
重金属17元素19成分溶出量 |
EN71-3(2013) |
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塗膜中または基材中の
重金属8元素溶出量 |
ASTM F963
EN71-3(1994)
ISO 8124-3 |
|
塗装・塗膜中の鉛含有量 |
ASTM F963 |
同上 |
CPSC-CH-E1003-09 |
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同上 |
金属製品中の鉛含有量 |
CPSC-CH-E1001-08 |
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同上 |
EC62321 |
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プラスチック中のカドミウム、鉛、
(クロム、水銀)含有量 |
CPSC-CH-E1002-08 |
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同上 |
IEC62321 |
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フタル酸エステル含有量 |
CPSC-CH-C1001-09 |
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ガラスのアルカリ溶出量 |
JIS R 3503 6.2 |
同上 |
マーキングペンのインク中の遊離
ホルムアルデヒド |
JIS S 6037 6.11
JIS L 1041 6.3.1b |
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皮膚に長時間接触して使用される
金属製品のニッケルの溶出量 |
EN 1811 |
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合板などのホルムアルデヒド放散量 |
JAS法、JIS法 |
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ニコチン含有量(ベープリキッド中) |
MGSL-BS/SOP/003 |
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(2) シンボルマークと認定内容
前記の表のマークは、各検査項目が次のような認定を受けていることを示します。
- (1)ISO/IEC 17025 / JAB
-
当試験所がISO/IEC 17025の規格要件を満たした試験所であることを、JAB(公益財団法人日本適合性認定協会)から認定された検査項目です。この項目の報告書には上記のilac-MRAマーク及びJABマークを表示できます。ilac-MRAマークが表示された報告書は、ilac(国際試験所認定協力機構)メンバーである他国の試験所の発行する報告書と相互受け入れが可能ですので、例えば輸出相手国での試験を国内で済ませることができます。
- (2)CPSC
- 規格・基準の欄にCPSCマークがある検査項目は、米国のConsumer ProductSafety Commission(CPSC)の第三者試験機関としてCPSCに登録されている項目です。報告書は米国への輸出・販売手続きの際にお使い頂けます。